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こんにちは、ゆーにです。今日の記事は!国際生物多様性の日シンポジウム!ではなく!約4ヶ月前に行われたシンポジウムの報告をします(^^;)遅筆ですみません。
今日の記事は長い上にちょっと専門的です。がんばって読んでください(笑)

2月11日、日本獣医生命科学大学にて、「外来野生動物を知って農林業文化を守る」というシンポジウムが開かれ、参加してまいりました。

日本の外来野生動物による農林業被害は2007年度で全国1625ha、被害額は5億8000万円にのぼったといわれております(農水省)。これらの外来野生動物は野菜・果物だけでなく、人家へも被害を及ぼしています。

そこで、アライグマやハクビシン、ヌートリアなどの外来野生動物の生態と具体的な被害防除について研究成果を発表し、広く社会に知っていただくため、シンポジウムが開催されました。

講演者は大学や研究機関、NPOの方々全部で10名でした。

それぞれすばらしい講演をしてくださり、その内容をある程度メモしてありますが、講演者順に記していくと内容が前後するので、ハクビシンやアライグマなど動物ごとに面白いと思った内容、これは重要だと感じた内容をまとめていきますね。

参考は森林技術第803号、またシンポジウムの発表からです。

■アライグマ

・目撃例
アライグマは、平成20年にはもはや全国各地で見られるようになっております。全国で繁殖しているというわけではありませんが、目撃(確認)されているようです。
関東では、特に神奈川県の三浦半島と埼玉県の旧比企郡に集中しているようです。

・被害
農林水産省の統計では、アライグマの被害額が増えているようです。トウモロコシ、メロン、スイカに大きな被害があります。一晩で100㎡のトウモロコシ畑が全滅したこともあります。
また、人家の屋根裏や床下に棲みつき、騒音被害、糞尿の悪臭被害も起こしております。

・生態と対策
アライグマは夜行性で、森林からはあまり離れないようです。水系沿いに現れることが多く、針葉樹林地よりも広葉樹林地のほうが多いようです。
昼間のねぐらは樹洞、樹上、土穴、側溝、排水管ネットワーク、人家(特に人が住まなくなった場所)などだそうで、出産場所は土穴、樹洞などだそうです。土穴はアナグマが掘ったものなどを利用します。

アライグマ対策を行うには、どれくらいアライグマが生息しており、どれくらいの増加率で増え、どれだけの捕獲努力をかければいいのかを知ることが重要になります。

アライグマの増加率を調べる上で重要なのが出産率などの生態と死亡率です。
北海道で調べられた限り、まずアライグマの交尾ピークは2月、出産ピークは3~5月、授乳は4~6月、離乳は7月以降だったそうです。離乳後、ある時期にぴたっと子供がいなくなり、子別れをするそうです。
また繁殖率は、0歳では0%(産子数0匹)、1歳だと66%(産子数3.6±1.3匹)、2歳以上だと96%(産子数3.9±1.3匹)だったようです。
千葉や大阪、和歌山で調べられたものとあわせると、1歳の繁殖率が50~73%、2歳が81~100%であり、平均産子数が1歳で2.0~3.6匹、2歳で3.6~3.9匹だったそうです。地域差はあまり無いようです。

ちなみに、アライグマの年齢を調べるのには、歯のセメント質に形成される成長線を数えることで推定できるようです。

今では、増加率と死亡率をあるモデルに入れ、今後の個体群動態をシミュレーションし、そこから捕獲率や捕獲時期などを変えることで根絶にかかる時期や捕獲効果を検証できるそうです。

根絶には、夏以降に行われる農作物被害対策の駆除では不可能です。
というのは、農作物の収穫時期の捕獲率は、他に食べるもののない春季と比べて3分の1に低下してしまうからです。
アライグマの生育確認後早期に駆除に乗り出すほうが費用対効果が高く、大規模な捕獲対策が根絶への近道です。

アライグマの授乳期(春季)における集中的捕獲が個体数増加の抑制に効果的です。

駆除以外の方法では、物理的な防護柵、音や光、忌避物質を用いることもできますが、一時的にしか効かず、時間経過とともに効果が薄れていくようです。
テーピング法というトウモロコシを茎ごとビニールテープで巻いてしまう方法もある程度効果が出るそうです。が、もっとも効果が高いのは電気柵で、物理柵よりも効果は低くなります。
物理柵は、一部分だけを多い、一部分を食害用に開放するといった措置をとれば、完全に防止することはできませんが囲った部分の被害を抑えられる可能性が高くなります。




無  何もしない
小  テーピング法      小規模農園向き
中  物理柵(防風ネット)  中規模農園向き
大  電気柵          大規模農園向き

というようにまとめられるようです。対策者ごとに収穫物の必要量を考慮し、それに見合う対策を行うことが大事です。

・駆除
捕獲個体の分析によるモニタリング、箱ワナ以外の捕獲方法の開発などを今後行う必要があります。
ねぐらをコントロールできれば防除に有効ともいわれます。
ワンウェイ・ゲート方式のワナも開発中だそうです。

トラップシャイな個体もいるので、そのような個体をどう対策するかも今後必要となります。


■ハクビシン

・被害
アライグマと同様、ハクビシンも被害額が増えているそうです。特にブドウやカキ、ミカンなどの果樹被害が問題になっています。ハクビシンも屋根裏や床下に棲みつき、騒音・糞尿による悪臭被害を起こします。

・生態と対策
埼玉でハクビシンの目撃例が増加しているそうですが、それにはハクビシンの高い繁殖力により個体数が増加したこと、人家の近くに住むようになったことなどが理由として考えられます。そこで、ハクビシンの増加率はどのくらいかを調べたようです。

増加率を調べるために繁殖力と寿命の推定を行いました。
寿命の判定には、まず月齢を推定します。これは、歯の生えそろいで推定できるようです。
乳歯が生えそろっていれば6ヶ月以上、そろっていなければ6ヶ月未満で、永久歯が生えそろっていれば17ヶ月以上だといえます。
これだけでは17ヶ月以上は年齢が不明ということになりますが、この年齢をはっきりさせなければなりません。
これを判明するにはアライグマ同様歯のセメント質の年輪を数えればよく、年輪数+12ヶ月が大体の年齢だといえるそうです。
このように月齢・年齢を推定する方法はわかってきましたが、寿命の推定にはまだ至ってないようです。飼育下では寿命が20歳を超える個体もいるようです。
繁殖は、12ヶ月齢以前は繁殖に非参加のようです。
出産は秋頃、出産頭数は約2~4頭とのことでした。アライグマはある時期にぴたっと子供が見られなくなるのに対し、ハクビシンは子別れはあまりみられないようで、ゆるりゆるりと親から離れていくらしいです。

次に被害対策のために行動を確認した例に移りましょう。
埼玉県で行動を確認した例では、住み着く場所は寺や人家などの建築物の天井裏のようです。
1個体が複数の休息場所をもっているらしいです。その利用には行動における規則性がなく、餌との関係で決まるようです・・・つまり被害が激しい場所の近くに必ず寝場所を持っているといえます。
行動のほうでは、川も隔てて移動できるようです。しかし、それは川を渡っているのではなく、橋や水管橋を使うようです。また側溝、電線も移動手段となります。
アライグマは水系や緑がないと生息できませんが、ハクビシンは必ずしも必要ではないようです。
面白いことに、雨水側溝が分別されているところ(側溝が分流式ということでしょうか?)はハクビシンの個体が少ないという情報があります。この情報は検証待ちみたいです。

ハクビシンは夜行性で、冬は集落のほうにいることが多く、夏は集落と畑の両方に多く見られます。
夏は植物質を食べることが多く、秋口になると動物質も食べることがあるようです。鶏小屋へ侵入して被害を与えることもあります。

被害対策には、
・食を切る(食べさせない、餌になるごみをすてない)
・住を切る(屋根裏などへの対策)
・体を切る(個体数管理)
が大事といわれます。特に寝場所は餌場への前線基地となっておりますので、住を切る、すなわちハクビシンの寝場所をなくすことが被害防止への第一段階です。

実際に集落点検により発見された複数の寝場所を撤去した地域では、驚くほどの効果が見られているようです。
また、ハクビシンの被害であることに気づくことも大事です。夜、ハクビシンやアライグマが食害した跡を、朝カラスがつついているのをみて、カラスのせいだと感じてしまうことをなくすことが重要です。
ハクビシンは被害作物の皮を残す(果皮が柔らかいもの以外)傾向があるので、もし被害作物の皮が残っていたらハクビシンのことを疑ってみましょう。

ちなみに、ハクビシンは花粉と共にやってくるといわれています。
花粉も厄介ですが、農家にとってハクビシンも厄介ですね。

・感覚試験
ハクビシンの防除に役立てるため、感覚試験を行ったようです。
聴覚試験では、超音波は聴けるということがわかりましたが、超音波に対して怖がる様子はなく、効果はありませんでした。
味覚試験では、甘味や塩味、苦味などの嗜好性を判断しておりました。個体差はありましたが、塩味は濃度上げると好み、甘味は基本的に好むようです。苦味は感受性が高く、嫌いました。他には、酸味なども少し好むようですが、旨味については不明でした。アルコールは嗜好に対する個体差が多いようです。
跳躍試験では、フェンスを用いて試験しておりましたが、この高さが115㎝まで跳躍できた個体がおりました。試験に使ったフェンス上部にネコよけやベアリング、ガビョウなどを配置し、試験を行った結果もありましたが、これらの効果は全くありませんでした。フェンスは飛び越えるというよりも乗り越えるという感じであり、ジャンプはあくまでも障害物をよじ登るためのもののようです。
歩行試験では、太さを様々に変えたロープを用いて渡らせる実験しておりました。たるむロープも難なく伝い、0.8㎜のロープもわたることができるということが判明しました。しっぽでバランスをとっているのか、先天的にしっぽが巻いている個体ではバランスがとりにくそうでした。ですが落下することはなく、渡りきりました。つまり、電線だろうがなんだろうが簡単に渡ることができるようです。
ほかに、光の照射試験を行っておりました。これは強い光をあてても効果がなく、光の存在を無視したり、逆に興味深く光源を覗くこともしておりました。

以上の結果から、簡単なフェンスや超音波、さらに光を用いて防除をすることは難しいようです。
ハクビシンの鈍感力は天晴れですね。

・駆除
駆除方法は特に発表されませんでしたが、柵でハクビシンから果樹を守ることが提案されておりました。「白落くん」という名のついた埼玉方式の被害防止柵がありました。
しかし、事情により詳しく発表されなかったので割愛させていただきます。


■ヌートリア
・被害と生態
ヌートリアは1950年頃に放逐されました。毛皮用として導入されたのが主ですが、水草防除のために導入されたところもあります。
ヌートリアは、2005年の兵庫県においてほぼ全域に見られておりますが、被害はまだ深刻ではないようです。
食植性なのに侵略的だといわれているのは、植生被害、農作物被害、堤防被害だけでなく、そこから付随して起こる水害や経済被害、希少種などへの生活史被害もあるからです。高密度になるとドブ貝も食べたりするそうです。
産子数は平均6頭、3~7ヶ月で性成熟します。年に2、3回出産し、野生での寿命は2年ほどではないかといわれております。また、いつ捕獲しても5~7割のメスが妊娠しているようです。

メスの体重をため池と河川を比較したところ、メス体重はため池のほうが大きく、ため池では高密度化できるという面白い結果もありました。

・駆除
捕獲にはトラバサミや箱ワナを用います。イギリスではいかだに箱ワナを仕掛けるという工夫もしていたようです。
捕獲対策は労力を集中し、まとまった根絶地域を作ることが大切なようです。
根絶に成功した地域への再侵入確率を求めるというシミュレーションがありましたが、全域ランダムに根絶地域を作るのと、地域集中で根絶地域を作るのでは、明らかに地域集中のほうが再侵入確率が低いという結果になっておりました。

他に、ヌートリアは水位変動に弱いと言われております。水を抜いたり入れたりすると生活史が攪乱され、営巣場所や採食、繁殖が阻害されるようです。
この水抜きの効果として、ヌートリアの逃亡や死亡、抽水植物の復活などが上げられております。
ため池管理では、かつて水抜きの際に住民総出で池の魚を捕まえるということがよくあったそうで、これを「じゃことり」といいました。
このじゃことりを行った池ではヌートリア確認数が0になるという結果があり、水位の低下だけではなく、同時に堤防の草払い、野焼きなども影響して効果が出たのではないかといわれております。

総合討論ではヌートリアの防護柵についての話が出ておりましたが、ヌートリアの被害は単発的であり、深刻さも薄いため、特別にヌートリア用の柵を作る必要はないのでは、という意見がありました。


読破ご苦労様でした。以上、大分駆け足でしたが、このような内容となっておりました。
どんな外来生物でも、生態調査というのは結構重要です。
生態・生活史を知っていればこそより効率の良い駆除ができるのです。
だってそうでしょう?子供をたくさん生んだあとの季節に捕獲するとなると非常に労力が増えますから。
詳しい行動や生態がわかってこそ、我々の農林業・文化・生態系が守られるのです。

これらの外来生物の問題でお悩みのかたがた、是非敵を知ってください。そして自分に何ができるのかを考え、行動してください。

敵を知り、己を知らば百戦危うからず。

孫子の兵法は、現代の自然相手にも通用するのです。


参考:森林技術 第803号 日本森林技術協会 2009
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2009.05.31 / Top↑
どーもー、ゆーにです。
先日、国連大学にて行われた生物多様性の日シンポジウムに行って参りました。
大きなホールでやりましたが、なんと同時通訳付き。ハイテク会議の一員になった気分で、わくわくしました。

内容はさまざまでしたが、最後の討論が非常に残念だったと思います。生物多様性の日なのに最後が動物福祉、特に動物愛護団体のクレームで終わるなんて・・・。
詳しいことはまた今度。他のシンポジウムや学会のことを記事にしてからです。・・・いつになることやら。

というわけで、今日の記事は先月配信されたニュースから。

今、日本中で豚インフルがはやりつつありますね。日に日に患者さんが増えております。
今回インフルエンザウイルスの媒介となったのは豚ですね。しかし、媒介になりうる動物は他にもいるのです。そう、外来種にも。↓

鳥インフルにアライグマが感染 国内初
2009.4.3 01:30

このニュースのトピックス:鳥インフルエンザ

アライグマ(AP) 国内の野生のアライグマの一部が高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)に感染していたことが、東大医科学研究所と山口大の共同研究で分かった。

 野生動物のH5N1型の感染例は国内では鳥類が報告されているが、哺乳(ほにゅう)類は初めてとみられる。野鳥の捕食で感染したとみられ、養鶏場などに侵入すると新たな感染源になる恐れがあり、対策が求められそうだ。宇都宮市で開催中の日本獣医学会で4日、発表する。

 東大医科研の堀本泰介准教授らは、平成17年から西日本、東日本の計4地域で捕獲されたアライグマ988匹の血液を分析。このうち10検体から、過去にH5N1型に感染したことを示す抗体を検出した。

 感染歴があったアライグマの捕獲場所は西日本の2地域と東日本の1地域。捕獲時期は西日本が18年4~5月、19年6月、20年1月、東日本は20年5~7月だった。3地域のうち2地域は、これまで鶏や野鳥の感染が報告されていない“空白域”だった。

 研究チームは、死んだ渡り鳥などを捕食して感染した可能性があると分析。感染率は全体の1%程度と低いが、養鶏場への新たな感染源になる恐れがあり、侵入防止策を再確認すべきだとしている。

 環境省によると、国内の野生動物でH5N1型の感染が確認されたのはハシブトガラス、クマタカ、オオハクチョウの鳥類3種だけだった。鳥インフルエンザウイルスが哺乳類の体内などで変異を起こすと、人に感染する新型ウイルスが生まれる可能性がある。

 同省は今回の研究結果について「過去に感染しただけなら緊急性は低いが、情報収集を進めて今後の対策の参考にしたい。アライグマは他の病原体を持っている恐れもあり、むやみに触れないでほしい」(野生生物課)としている。

 アライグマは北米原産。1960年代からペットとして輸入されたものが捨てられ、ほぼ全国で野生化した。国の特定外来生物に指定され、各地で駆除が行われているが、繁殖力が強く対策は進んでいない。(長内洋介)




 鳥インフルエンザに詳しい伊藤寿啓・鳥取大教授(獣医公衆衛生学)の話 「宮崎県などで発生した鳥インフルエンザの感染経路として、感染した野鳥を食べた野生の哺乳類が鶏舎に侵入し、ウイルスを持ち込んだ可能性を指摘したが、これを裏付ける一つの状況証拠だ。ウイルスを保有しているアライグマが見つかれば、さらに説得力が高まるだろう。感染個体が全国にどの程度いるのか調べる必要がある」



ということでした。
確かにアライグマが鶏舎に侵入し、ニワトリに広めるという可能性が無いわけではないから、危機意識を持つことは必要かもしれません。

今まで鳥にしか感染が確認されていなかった鳥インフルがアライグマを媒介するということは、タヌキなんかよりも都市に適応し、人に近いところに生息している彼らから人間に移る可能性が上昇したということです。

簡単に一言でいえば、鳥インフルの感染確率があがったということです。

ただし、だからといってアライグマを眼の敵にしてはいけない。
というのは、アライグマよりもはるかに多くの何万というハシブトガラスが人間の近くに住んでいますから、人に伝染する確率が上がったといってもほんの僅かのことでしょう。

インフルが危険でアライグマよくない!というのはいささか説得力に欠けるのです。
それならばカラス危ない!の方が説得力ありますし。

このニュースからアライグマよくない!といいたいならば、畜産業への潜在的な危険性が高まった、つまりニワトリ小屋に侵入されて、そのニワトリ達がインフルエンザにかかる危険性が高まったことを説くべきでしょう。
人への健康被害もありますが、ニワトリ被害の方が可能性が高そうですから。
野生のアライグマと人が触れ合う可能性と、野生のアライグマが鶏舎に侵入する可能性。
後者の方が高いと思います。

人に伝染する可能性と、ニワトリに伝染しそこから経済被害が出る可能性とはっきり分けなければなりません。しっかりリスクと可能性を考えて行動しなければなりませんね。リスクマネージメントですね。


ただ、気になるところはこのアライグマが鳥インフルエンザを媒介しうる能力を持っていたのか、それとも鳥インフルエンザ自体が哺乳類に伝染する能力を得たのか、ということです。

前者は前者で鳥とアライグマのみが媒介するという点で問題ですし、後者は後者でインフルエンザの伝染性が高まったということで問題です。

しかし、現在鳥インフルよりも豚インフルの方がパンデミック状態にあり、危険なわけですからこの問題は一先ずおいておきましょう。

ニュースから得られることは、鳥インフルエンザがアライグマに感染したという『事実』のみです。それ以外のことは不確定要素なわけですから、安易に駆除論に走るのも、また、可能性が低いからアライグマは問題ない、守れという意見も正しいとはいえません。

いま出来ることはこのニュースの先を見守ること。
インフルエンザを媒介した事実から予防という意味で駆除するのは間違っておりませんが、早まってはいけません。

むしろ我々が今すべきことは、しっかり手を洗ってうがいして、豚インフルエンザにかからないようにすることなのです。


引用元:産経新聞 2009/04/02 『鳥インフルにアライグマが感染 国内初』
URL:http://sankei.jp.msn.com/science/science/090403/scn0904030131000-n2.htm
2009.05.25 / Top↑
こんにちは、ゆーにです。

ブログを更新していなかった時期に様々な外来生物のニュースがありましたね。
そのなかで興味深かったものを、今後記事にしよう!と思って溜めてありました。
それを放出していきます。

少し前の話も出てくると思いますが、お付き合いくださいませ。

今日は5月初めに報道された、セアカゴケグモの天敵の話です。
外来生物が蔓延するのは、一般的に侵入した地域で天敵となるものがいないor少ないから、ということもできます。では今回発見された天敵は果たしてセアカゴケグモの蔓延に歯止めをかけることができるのでしょうか。

では、ニュースです。↓

セアカゴケグモの“天敵”ハチ発見 針で一刺し、麻痺させて捕食
5月7日14時7分配信 産経新聞

 強い毒性を持つセアカゴケグモに、国内では存在しないとされてきた捕食者がいることが7日、大阪市立自然史博物館の調査で分かった。一方で、大阪府内で昨年度、セアカゴケグモによる被害例が過去最多を記録したことが判明。繁殖を繰り返す毒グモの“天敵”が発見されたことで、関係者は被害拡大が防げるのではと期待している。

 同館学芸員の松本吏樹郎さんと同館友の会会員の北口繁和さんの調査によると、クモバチ(ベッコウバチ)の一種の「マエアカクモバチ」が、セアカゴケグモを捕食していることが確認された。平成19年9月に長居公園(大阪市東住吉区)で初めて確認されてからは、この数年間に、堺市堺区内や大阪府豊中市内の石垣のすき間や公園の地面などでも、このハチが針で刺して麻痺させたセアカゴケクモをアゴでくわえ引きずっている姿が観察されたという。

 このハチは背中が赤さび色をしている点が特徴。これまで別のクモ(ハンゲツオスナキグモなど)を捕食する姿は観察されていたが、松本さんは「えさのクモと似た環境で増加し、入手しやすくなったセアカゴケグモを捕食し始めたのでしょう」と説明する。

 外来種であるセアカゴケグモは日本では平成7年、大阪府高石市で初めて発見。その後、兵庫や和歌山、奈良など近畿地方を中心に繁殖を繰り返しており、愛知や群馬などでも確認されるなど生息範囲が北上している。

 大阪府環境衛生課によると、セアカゴケグモによる府への被害報告は、13、16、17年度にはそれぞれ1件だったのが、18、19年度にそれぞれ6件。20年度には9件と最多を記録、「ここ数年で被害例が増加しており、今年は予断を許さない状況だ」という。

 同課では定期的に生息状況を調査をしているが、「クモは一カ所に固まっているわけではないので、一斉駆除は不可能だ」と頭を悩ませていた。思わぬ天敵の発見に「生態系への影響を考えなければいけないが、面白い発見だと思う」と期待感を示している。

     ◇

■首都大学東京の清水晃助教(生物多様性)の話

 「マエアカクモバチは国内でも比較的まれなハチで、生態があまりよく知られていない。毒グモの駆除に使えるほど増殖させることができるか疑問の余地があるが、いい意味での影響が期待できるだろう」

     ◇

【用語解説】セアカゴケグモ

 オーストラリアや東南アジアなどの熱帯、亜熱帯に生息。船の貨物などとともに日本に入ってきたとみられる。オスは体長約3ミリ、メスは体長約15ミリ。メスは背面に赤またはオレンジ色の帯状の模様がある。神経毒をもち、かまれた部分が腫れ、痛みが次第に広がる。呼吸困難など全身症状が表れることがあり、海外では死亡例もある。


ということでした。

マエアカクモバチがセアカゴケグモを食べることが発見されたそうですが、マエアカクモバチを天敵として導入したとして、果たしてどれだけの効果があるのでしょう。

まだ生態もよくわかっておらず、おそらく今後も人工飼育し増殖して放虫ということもありえないと思いますが、天敵導入ということについてちょっと考えてみましょうか。

天敵導入はこれまで農業で幅広く行われてきました。また現在でも天敵を導入する方法はとられております。

野菜を作るにあたって農薬を用いたくない場合は、害虫から守るために天敵を導入しなければなりませんね。これは経済効果を高めるために必要なことです。

また、生態系の分野でも天敵導入が行われたことがあります。
正確には生態系保全ではなく、被害防止の観点ですが、沖縄のハブに対してマングースを導入したのも天敵導入の例ですよね。

天敵導入の構図は非常に単純です。

ある生き物Aが被害をもたらしていた。
ならばその被害を防ぐために、Aを食べる生き物Bを入れて、食べてもらえばいいんだ!
よし!Bを入れよう!
これで被害がなくなるだろう!

と、皆様考えて導入を果たすわけです。
さてさて、それで成功した例はいったい何件でしょうか。

農業の天敵導入でも、この構図のように簡単にいった件は少ないと思います。
他は、例えば天敵が定着しなかったり、はたまたマングースのように他の生き物を食べてしまい、別の生き物に被害を拡大させたり・・・。

天敵導入は、多くが外来生物を使っておりました。もちろん国外もあれば、地域外もありますが。
そして、天敵の食性も深く考えずに導入していました。
だから、予期せぬ結果が出ていたのです。

まぁ、当たり前といえば当たり前の話です。

さっきの例で当てはめるなら、生き物BはAを好んで食べていたのでしょうか?
単純にAの量が多く、比較的捕まえやすいからAを食べていたのではないでしょうか。

動物の嗜好性なんてものは測ることができません。哺乳類になれば個性というものが出てくるでしょう。昆虫だって、今回のハチで例えるならば、ある容器にハチと多くのいろんなクモを入れて、どれを一番最初に襲ったかを何十回と繰り返し実験し、そこでかなりの割合で特定のクモを襲わなければ嗜好しているとはいえないのです。

そう、ただ食べたor食べないだけでは、天敵とは言い切れないのです。
我々が他に食べるものがなく、仕方なく道端の雑草を食べたとしましょう。
果たして我々は雑草の天敵ですか?そういうことです。

記事にもあるとおり、今回このハチが発見されたのは「えさのクモと似た環境で増加し、入手しやすくなったセアカゴケグモを捕食し始めた」というだけに過ぎないと思います。

だから、安易にこのマエアカクモバチを繁殖導入し、セアカゴケグモを駆除してもらおうなんて甘い考えは捨てなければなりません。
マエアカクモバチが益虫である他のクモを駆逐しないとも言い切れないのですから。

セアカゴケグモを食べることが確認されたのは、非常に勇気付けられるニュースです。
私も、おおっ!ついに現れたか!と感じたほどです。

生態系保全の世界では、最近、外来生物に対して現地の天敵を用いることが注目されつつあります。
例えば、中国では日本から侵入したクズに対して、現地でのクズ害虫などを探し、防除させようとしております。

外国の生物を使って天敵導入するよりは多様性の保全上はるかに洗練された手法と言えるでしょう。
しかし、忘れてはならないのは生態系は人間が考えるよりも多様で複雑なもの。
安易に手を加えても予想通りの結果が出ることは少ないのです。

日本のマエアカクモバチが外来のセアカゴケグモを食べることは非常に興味深いニュースです。
ですが、安易に導入なんてことを考えず、この情報をどのように活用してセアカゴケグモの防除に役立てるのか、それが我々生態系保全研究者の使命といえるのではないでしょうか。

引用元:産経新聞/yahoo!ニュース 2009/05/07 『セアカゴケグモの“天敵”ハチ発見 針で一刺し、麻痺させて捕食』
URL:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090507-00000557-san-soci
2009.05.19 / Top↑
こんにちは、ゆーにです。

今日の話題はニセアカシアです!
カテゴリ作っておきながらまだ1本しか記事を書いていないという始末。それも今日で終わり!

外来樹木問題といえばニセアカシアが最も有名ですし、最も研究されております。
先日、研究室の友人の手伝いで多摩川河川敷にあるニセアカシア林に調査に行ってきました。

その様子を今日記事にしようと思いましが、トウネズミモチ酒につづいてニセアカシア酒でもつくろうかと魔がさしましたのでそちらを先に書こうと思います。

ニセアカシアの種子生産を妨げつつおいしい酒をつくる!
まさに一石二鳥!外来種の有効利用ですね!

というわけで、外来酒の第二段ニセアカシア酒です。

トウネズミモチ酒では実を使いましたが、ニセアカシアでは花を使います。
なんたって巷で売っているアカシア蜂蜜の蜜はほぼニセアカシアの蜜ですから。
そのくらいよい芳香、甘い蜜をもっているそうです。

ちなみに花以外は有毒なようなので気をつけてください。

用意するものはこちら。
IMGP4877re.jpg

いやに実験室的ですが、お気になさらず・・・。

ニセアカシアの花、ホワイトリカー、氷砂糖、容器です。

今回用いたのは花100g、ホワイトリカー1.8ℓ、氷砂糖50gです。
花は房のまま持ち帰ってきましたが、途中でばらばらになったのもあり、大部分は房から外れております。房についたままでも大丈夫なようです。

下準備として、花は天日で乾燥させるのが良いようです。
水では洗わないのは蜜が流出するからでしょうか?
今回は時間がなく、1時間外に出して乾燥させました。
・・・生乾きです。

まず、容器に氷砂糖と花を入れました。
どーん。
IMGP4880re.jpg

つぎにホワイトリカーを投入!
それっ!だばだばー。
IMGP4881re.jpg

怒涛のごとくですが、実際作業したらこれだけ。
IMGP4883re.jpg
はいできあがり。


本によっては1週間で花を引き上げるだとか、花は入れっぱなしでも大丈夫だとかいろいろあるようですが、様子を見てやっていこうと思います。

一応完成までには3ヶ月、熟成にはさらに1年ともいわれるようです。
ま、あまり気にせず気ままに見ていこうと思います。

効能はリラックスだとか!楽しみですね~。
ではしばしお待ちを!
2009.05.17 / Top↑
お久しぶりです。ゆーにです。更新が1ヶ月もないという非常事態でした。

将来のために就職活動(試験)がつづいており、その勉強のために更新をストップさせておりました。ご心配をおかけし、まことに申し訳ございませんでした。

今後も就職先が決定しない限りは不定期の更新となりうるかもしれませんが、是非寛大なご容赦をお願い申し上げます。


・・・と、のっけから堅苦しい文章になってしまいましたね。

今日の記事は、外来生物研究者のジレンマについてです。
研究者全員が思っているとは限りませんが、私が常々実感していることを文章化してみたいと思います。思いっきり自分のトウネズミモチ研究のことなのですが、自分が研究していく上で少しだけ悩んでいる部分なので、どうぞお付き合いください。


外来生物研究のジレンマ

このジレンマは特にまだ問題になっていない種を研究しており、かつ予防法や駆除方法の効果を調べている人に起こりやすいと思われます。

それはなぜでしょうか。

研究、特に実験というのは、用いる材料を多くしなければなりません。
なぜなら、1つの材料でAという結果が出たとしても、それは本当にその実験の効果なのか、それともたまたまAという結果がでただけなのかわからないからです。
つまり、ある1本の外来樹木を駆除実験をして、その結果枯死したとしても、その枯死した要因が行った作業によるものなのか、はたまた弱っていたところに作業した結果枯死しただけなのかわからないということです。

生物を用いる以上、その結果には生理的なもの、生態的なもの、その生物の個性などで結果が大いに変わってしまうのです。

この結果は、実験に用いる材料の数を増やせば、真に近い結果が出るといわれています。
例えば、ある駆除実験を100本の同じ大きさの樹木に施し、その結果大部分が枯死したら統計的にも駆除実験によって枯死した、といえるようになるのです。

ここで問題になるのが、その実験に用いる数。
統計解析からその結果を真というためには、限りなく条件の同じ個体をたくさん用意しなければなりません。
信頼性のあるデータにするためには、莫大な数の材料が必要になるのです。

樹木を駆除する実験にあたって、その結果を効果的or効果がないとするためには、同じ樹齢同じ大きさほぼ似た形の個体を数十本、かつその樹齢や大きさを変えて繰り返し実験しなければ、どの大きさでは効果的で、どの大きさでは効果的でないかもあらわせないのです。

逆に言えば、たとえば樹高5mのもの数十本駆除実験したとし、その結果効果的であると判明したとします。しかし、それは樹高5mのものには効果的だが、それ以外には不明である、例えば樹高10mには効くかも効かないかもわからないし、樹高1mのものにも効くかどうかもわからないのです。

つまり、私は現在外来樹木の駆除方法を体系化しようとしていますが、さまざまな方法の実験を行い、かつ大きさもかえて統計的に真という結果を出して体系化するためには、それはもう莫大な個体数が必要となるのです。

では莫大な個体数を得て実験するにはどうするのか。

われわれ生態系分野の研究者は、基本的には実験室内ではなく、フィールドに出て調査・実験を行います。外来生物駆除を研究する人々もそうです。

そこで、フィールドで外来種研究者が実際に駆除実験を行い、結果が統計的に真と言え、信頼に足りうる実験データが得られたとしましょう。

それはつまり、実験で非常に多くの個体を使うことができたということです。

それが何を意味しているかわかりますか?
個体数が莫大で、生態系にすでに多大な影響を与えていると共に、もはや根絶は不可能ということなのです!

個体数が増えすぎ、日本中に蔓延してしまったブラックバス・ブルーギルは、もはや根絶は不可能といわれております。セイタカアワダチソウなんかはアレロパシーを持っており、他の植物に影響を与えておりますが、数が多すぎて特定外来生物に指定されておりません。

特定外来生物ではなく、要注意外来生物にせざるをえない生物の理由の一つに、広く分布してしまっており、もはや駆除が困難、というのがあります。

単純に個体数が増えれば駆除が困難になるのは、自明の理です。

ジレンマというのは、信頼に足る駆除結果のデータを得るためには、莫大な個体数を材料として用いなければならないが、信頼に足る駆除結果が出たとき、それはもはや根絶不可能ということをさしているのです。

逆をいえば、根絶可能ならば信頼に足る駆除結果は得られないのです。

外来種は予防が原則です。予防法を講じるために実験を行いますが、その結果は統計上は信頼し得ない。
研究し、納得のいくデータを得るには相当な個体数が必要である。
しかし、その個体数が国内にある場合、もはや根絶が不可能である。


という外来生物駆除研究者のジレンマでした。


解決方法としては統計を用いないことなんです。
そうすれば個体数は気にしなくて済みますからね。

ただ、現在の実験の研究界では、統計による手法が一般的過ぎるんです・・・。
おそらく統計を使わなければ、単なる参考のデータとしてしかとらえられないでしょう。

私は参考になるなら、実際に使ってくれる人が現れるならば参考のデータでも構わないのですが、修士という立場上、論文を書かなければいけないという立場上それも難しいところなのです。

日本には昔から匠のワザ、といわれるように科学的根拠ではなく経験的根拠を認めることがありますよね。
まさか匠のワザについて全てが偶然だ、なんていわないでしょう。

研究の世界でもそこまでとはいいませんが、もう少し経験的根拠を認めてくれてもいいのではないかと希望してしまいます。
経験は科学ではないから難しいのでしょうけれど・・・。

経験を何とか科学的に証明できるようになれば、より科学の幅が広がるかもしれません。

頭の片隅で、経験を科学的に認められる方法、考えてみようかな。
2009.05.11 / Top↑

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