上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.-- / Top↑
どーもみなさまこんにちは!ちょっと間があいてしまいました。
名古屋でCOP10が開かれておりましたが、なんとか成功したようでよかったですね!

でもここからが本番です。COP10が目標ではなくて生物多様性を保全していくのが目標。
よいスタートを切れたと思うので、失速せずに生物多様性の保全及び外来生物の防除が進んでいくことを期待し、私も外来生物について、いろいろがんばります。

さてさて本日の記事は、カエルツボカビについて。
両生類の大部分が死滅するのではないか!!と恐れられ、新聞やメディアを賑わしてからはや4~5年。
現在ではカエルツボカビ?ああ、そんなのいたなぁ状態ですね。

何故報道されなくなったのか?日本の両生類は大丈夫なのか?
今年の生態学会やいくつかのシンポジウムで得た情報を基に、記事を書こうと思います。


カエルツボカビ症は1998年頃にパナマやオーストラリアで確認された新しい感染症といわれております。
カエルツボカビはツボカビの仲間で、1属1種ないしは2種おり、水を介してカエル等の両生類にの体表に感染し、繁殖します。

両生類は皮膚呼吸しているため、このツボカビに感染しすると呼吸ができなくなり、死亡してしまいます。
カエルがジャンプした瞬間心臓発作を起こしたかのように、まるで生きているかのように死ぬ、といわれているらしいですが、本当でしょうか。

両生類なんだから肺呼吸もしてるでしょう?死ぬわけ無いじゃん!!と思うかもしれませんが、カエルは呼吸の大部分を皮膚呼吸に頼っており、肺呼吸はわずかなんだそうです。横隔膜や気嚢が無いため自発呼吸ができず、空気を飲み込むようにしないと肺に空気を送り込めないんだとか(wikipedia:「カエル」参照)。
そのため、ツボカビに感染するとわずかな肺呼吸では酸素がまかなえず、死んでしまうのですね。

ジャンプした瞬間に、っていうのも、もしかしたら酸素を通常より多く消費する活動を行ったために急速に貧酸素状態が進行し、窒息してしまうのかもしれませんね。

2006年頃、そのカエルツボカビに感染したカエルが日本でも発見されてしまいました。
2007~2008年には、カエルツボカビについて研究者が調査研究し、その原因究明に努めてまいりました。各種団体や協会は、連名でカエルツボカビ症侵入緊急事態宣言というものも出しました。
また、カエルツボカビに感染したカエルを発見した場合の措置についてもチラシやホームページにて普及啓発されてまいりました。オオサンショウウオにもカエルツボカビが寄生しているのが確認され、絶滅が懸念されるほどでした。

しかし、待てど暮らせどカエルツボカビにより日本の両生類が大量死した、という情報は流れません
・・・むしろ、空からオタマジャクシが降ってきたほうが話題になりましたね。

そして、最近1年くらいで、国立環境研究所から「カエルツボカビはアジア起源」説が出されることとなったのです!

その説の根拠を簡単に記すと、下記のようになります。

カエルツボカビのDNAハプロタイプ(菌の持つ遺伝子の種類(タイプ)、とでも言えばいいんでしょうか。)を解析したところ、パナマで確認されたのは2タイプ、オーストラリアでも2タイプ、アメリカでは3タイプだったそうです。
日本にいたウシガエルからは15タイプ確認されました。日本のシリケンイモリを調べたところ、なんと29タイプもあったそうです。海外のカエルツボカビは、確認されたので17ハプロタイプ、対して日本では50タイプも確認されたとのことです。

イメージしやすくすると日本にはカエルツボカビが50系統あって、パナマやオーストラリアでは2系統しかない(しかも日本にもある系統)というところでしょうか。

さらに、日本では1902年のオオサンショウウオの標本からカエルツボカビの組織が採取されました。

それだけではありません。
シリケンイモリ(日本)とベルツノガエル(外国)を同居させ、カエルツボカビ菌に感染させたところ、シリケンイモリは脱皮が促進されたけれども、ベルツノガエルは成長率が悪くなったらしいのです。

つまり、日本の両生類はカエルツボカビ症を発症せず、抵抗性を持つのではないかと推測されるのです。カエルツボカビが表皮にくっついても、脱皮を頻繁に行えば大丈夫ということでしょう。
着ている服が突然カビだらけになっても脱げばいい、というところでしょうか。

この、カエルツボカビの遺伝子多様性の中心が日本、日本の昔の標本からカエルツボカビが確認された、日本の両生類は抵抗性を持つといったことから、「カエルツボカビはアジアが起源」という説が信憑性を帯びてくると思われます。

ウシガエルから15タイプ確認されたのは、日本に来て感染したと考えるのが妥当です。
日本の両生類が大量死していないのも、抵抗性を持つからであるといわれればナルホドです。
日本発の菌ならば、外国でハプロタイプが少ないのも頷けます。

では、どうやって外国に出たのでしょうか?

国立環境研究所の五箇先生は、「研究者にくっついて外国に出たのではないか」と推測しています。

研究者はときにたくさんの生き物を研究室、自宅等で飼ってたりしますよね。
また、日本の調査地で池にジャブジャブ入りながら調査することもあるでしょう。
そのときに使った長靴・胴長・手袋・・・果ては網や採取道具など、よく洗浄せずに海外に持ち出せばどうなるでしょう。

カエルツボカビは水を介して感染します
日本の池や水槽から長靴や手袋に移り、よく洗浄・乾燥しないまま空輸、外国の調査地の池へ。
新たな地で出会ったカエルの表皮は繁殖しやすかったので、大量増殖・大量拡散できた・・・。
十分想像できることです。

将来的に生物多様性を守るための研究が、現在の生物多様性を破壊してしまった可能性がある。
なんとも頭の痛いことです。

研究者はよく道具を使い回します。
わたしも基本的には使い回しでした。
みなさん、水に関する調査道具でなくても、使った道具はきれいに洗って乾かしましょうね。
紫外線照射ができればさらに確実!!


外来の微生物は目に見えないため、何を媒介に持ち込まれるかわかりません。
そして、このカエルツボカビ症の世界的な流行のように、どこでどんな影響を及ぼすかわかりません。
自国が大丈夫でも、他国は危機的状況です。

自分たちが外来生物を持ち出し持ち込む者にならないためにも、細心と最新の注意が必要であり、
もし日本が原因ならば、カエルツボカビの世界的流行を止めるために世界と協力する必要があるだろう、と私は思います。

次の記事も外来微生物あるいはウイルスについて書こうと思いますので、またしばらくお待ちください。


参考:wikipedia「カエルツボカビ症」(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%82%A8%E3%83%AB%E3%83%84%E3%83%9C%E3%82%AB%E3%83%93%E7%97%87
   wikipedia「カエル」(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%82%A8%E3%83%AB
   産経ニュース「」(http://sankei.jp.msn.com/science/science/100920/scn1009200017000-n2.htm
スポンサーサイト
2010.11.27 / Top↑

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。