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ども、ゆーにです。11月の記事数が非常に少なくなりそう・・・。

今日は前回に引き続き、外来生物の防除事例を紹介します。
前回は防除(制御)事例でしたが、今回は根絶事例です。

ではどうぞー。

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時は1929年。

アフリカのダカールから、フランスの駆逐艦がブラジル北東に到着した。
ハマダラカ移動経路

その駆逐艦には、ガンビアハマダラカ(アフリカハマダラカ)が紛れ込んでいた。
200px-AnophelesGambiaemosquito.jpg
Anopheles gambiae/ガンビアハマダラカ(wikipediaより転載)

駆逐艦から逸出したそのハマダラカは、海岸近くと沼地で小さな集団をつくりはじめた。

あるとき、このカが侵入した町で突然、マラリアが発生した。

町民全員がマラリアにかかったようだが、まだこのカの存在は注意されていなかった。

それから2、3年、カは海岸沿いの地方に潜入先を増やしていった。


数年後、このカが侵入した場所から300㎞離れた場所で、マラリアが流行した。

だいたい1939年頃まで、内陸の谷でもマラリア患者が見つかるほどにまで広がったのである。

数十万人が羅病し、約2万人が亡くなったといわれている。


マラリアを媒介するカはブラジルにも前からいたようである。

しかし、その種は建築物に入ってくる習性を持っていなかった。

ガンビアハマダラカは、ブラジルの在来カとは違い、常時家の中に住む性質を持っていたのだ。

ただし、繁殖場所は屋外の日当たりの良い水たまりだったようだ。

この、家の中に住む性質と屋外の水たまりでの繁殖という2つの性質が判明し、駆除は難しいものではなくなった。

ロックフェラー財団がブラジル政府と協力し、一大キャンペーンを張り、3000人以上を動員して繁殖地に手を加え、屋内に薬を散布したのだ。

徹底したこの作戦は200万ドルあまりを費やしたが成功に終わり、3年間で南アメリカ大陸からガンビアハマダラカを完全に根絶したのである。

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チャールズ・S・エルトン 『侵略の生態学』より改変


という内容でした。

この事例の着目すべき点は二つ。

一つは、生物防除ではなく、人の手による直接駆除で根絶したこと。

もう一つは、カの生態を明らかにしてから駆除したこと。


生物防除はよくやられている手段です。

前回紹介したイセリアカイガラムシもしかり、日本で行われたウリミバエの不妊化昆虫もしかり・・・。ウリミバエの例はまた別かもしれないですけれど。

生物防除は天敵生物任せになるので、成功するか否かは未知数なところがありますが、人が直接手を下し、命を奪いに行くわけでもないし、作業自体が大変なものでもないし、自然の力に任せるような気がしますので、結構やりたがる人は多いようです。

実際、クズに悩まされているアメリカで生物防除をするために、原産地の一つである中国でクズに対する在来の食植性昆虫や植物病原菌を調査している事例もあります。

そういう在来のものに頼るなら良いのですが、基本外から入り込んで勢力を拡大する種は大概在来種よりも強い性質を持っておりますので、やはり天敵導入をするより他にないことが多いのです。

しかし、やはり確実性に欠ける。というのも、生物は子孫を繁栄させるのが大前提であるから、捕食しすぎて餌がなくなり、全滅なんてことがないように基本プログラムされてます。

もうちょい正確にいうなら、餌生物がなくなると自動的に捕食者の個体数が減るので、食物連鎖ピラミッドが維持されるようになっているのです。

だから、生物防除は根絶が目的ではない。必ず両種(侵入した外来種と導入した外来種)とも残るのです。

マラリアを媒介する外来カを根絶させるには、カダヤシを使うわけでもなく、クモを導入するわけでもなく、やはり人の手による駆除がよかったわけです。

それに、人の手のほうが早い。隅々まで駆除するには相当の労力がかかりますが、それでも時間と人手とお金さえあれば、もっともシンプルでベストな手段だと思われます。

キャンペーンを張ったのも成功の一因ですね。近年では、レユニオンでLigustrum robustum(ネズミモチの仲間)の一大キャンペーンが行われたそうです。


駆除をより効果的なものにする要因は、種の生態を知っていることです。生活史とか。

敵を知り己を知らば、百戦危うからず。

相手の生態を熟知することは重要なんです。
もし、ガンビアハマダラカの繁殖場所を知らずに屋内だけ延々と殺虫剤を撒いていたら、マラリアは止まらなかったでしょう。

そしてその生態を熟知した後、己が行えるもっともベストな駆除方法で駆除する。

今回の記事はこの流れが成功した例ですよね。


色々なところで駆除作業が行われていますが、どうにも効果が出ている気がしないことが多いです。
駆除による個体数減少は難しいことがわかっていますが、一年でやりきる心構えでやらないと無理だと思います。

そして、根絶させたいならお金を躊躇しないこと。

ぶっちゃければ、お金を掛ければ掛けるほど人員も道具も、大がかりな作業も出来るようになっちゃいますから。


逆に、お金を掛けず、人手も時間も掛けないで、かつ駆除数が多い駆除方法が開発できれば、より高い効果が望めますよね。

自分は、そんな研究です(^^;)

参考文献
チャールズ・S・エルトン(川那部ら訳) 『侵略の生態学』 思索社 1988
2008.11.17 / Top↑
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