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7月ですねー!早い早い。2009年も折り返しです。

今日はニュースの紹介。アメリカでの国内外来種の脅威で、遺伝子攪乱の事例です。
何でも在来サラマンダー(サンショウウオの一種)が他の州から移入されたサラマンダーと混血し、遺伝子攪乱だけでなく在来の両生類にも影響を与えているようです・・・。

それでは記事を見てみましょうか。

混成種サンショウウオが在来種の脅威に
Christine Dell'Amore for National Geographic News
June 30, 2009

 アメリカ、カリフォルニア州サリナスバレーの沼地で、サンショウウオの一種である希少なカリフォルニア・タイガーサラマンダーと外来種のオビタイガーサラマンダーの間に“モンスター”のようなハイブリッド種(混成種)が生まれ、在来種の脅威となっている。

 研究責任者でカリフォルニア大学デービス校・集団生物学センターのモーリーン・ライアン氏によると、新しいハイブリッド種は親の種よりも大きく成長し、大きな口でさまざまな両生類の獲物を飲み込むことができるという。

 獲物のほとんどは沼地に住む小さな種で、パシフィック・コーラスフロッグ(Pacific chorus frogs)やカリフォルニア・イモリなどが含まれるが、どちらの種もこのハイブリッド種の影響で個体数が急激に減少している。

「食欲旺盛で他の種よりも若干攻撃的なようだ。同種で争う様子や他の種を捕獲する姿を観察するのはそれほど難しくない」とライアン氏は言う。

 オビタイガーサラマンダーは1940~50年代にテキサス州からカリフォルニア州に移入した。現在、サリナスバレーでは在来のサンショウウオとのハイブリッド種が生息範囲を拡大しており、在来両生類の生息域の約20%がこの種で占められている。カリフォルニア州にそれまで生息していた在来種はアメリカの絶滅危惧種法(ESA)で絶滅危惧種に指定されている。

 ライアン氏のチームはハイブリッド種が地域の沼地に与える影響を調べるために、サリナスバレー各地でオタマジャクシと卵を採集し、研究室で分析した。その結果、このハイブリッド種のオタマジャクシは他の両生類の成体だけでなく、在来種のサンショウウオの幼生も捕食していることがわかった。

 また、他のサンショウウオの幼生とは異なり、“待ち伏せ”戦略を取ることもわかった。獲物がそばに泳いで来ると攻撃し、「飛びかかると同時に飲み込む」とライアン氏は説明する。もう一つ、在来種にはない変わった適応力がある。ハイブリッド種のオタマジャクシは歯列が異常に発達することがあり、“共食い”までするというのだ。

 このままハイブリッド種の生息範囲がサリナスバレー全体に拡大し続けると、他の両生類の種は危機にさらされる。

 例えば、アメリカで絶滅危惧種に指定されているサンタクルズ・ユビナガサラマンダーは、カリフォルニア州モントレー郡の非常に狭い範囲に生息している。この地域にハイブリッド種が進出してきた場合、「サンタクルズ・ユビナガサラマンダーの個体数は、世界規模で大きく減少する恐れがある」とライアン氏は話す。

 メリーランド大学カレッジパーク校の両生類生物学者カレン・リップス氏は、「論文の内容から、ハイブリッド種がサリナスバレーの沼地に生息する他の両生類に大きな影響を与えていることがわかった」とメールでコメントを寄せた。リップス氏によれば、サンショウウオが最上位の捕食動物になった例は他にもあり、例えば森林地帯の沼地では、サンショウウオが昆虫や他の無脊椎動物の個体数を脅かしているという。

「しかし、ハイブリッド種を排除しようとすれば、倫理的なジレンマに陥る」とライアン氏は言う。「自然保護の観点からすると、この問題へどう対処するかについては大きな疑問点がある」。何しろ、このハイブリッド種は部分的には絶滅危惧種の血をひいている。だが、半分在来種だからといってこの種を保護すべきなのだろうか。

 ライアン氏は在来のサンショウウオが生き残れるかどうかに関して、大きな懸念を抱いている。しかし、カリフォルニアでは“半分テキサス出身”である侵入者にはかなわないようだ。「このハイブリッド種の攻撃的な捕食行動が猛威を振るっている。そのために在来種が被害を受け、個体数の内でハイブリッド種が占める割合はどんどん増加している」と、ライアン氏は心配している。

 研究成果は今週号の「Proceedings of the National Academy of Sciences」誌に掲載されている。




とのことでした。

簡単に整理しますと、

テキサス州
・オビタイガー・サラマンダー

↓1940~50移入

カリフォルニア州
・カリフォルニア・タイガー・サラマンダー

その後、

カリフォルニア州
・カリフォルニアタイガー×オビタイガー雑種発生

↓捕食

個体数激減
・パシフィック・コーラスフロッグ
・カリフォルニア・イモリ

個体数激減の危険性
・サンタクルズ・ユビナガサラマンダー

また、おそらく
・カリフォルニア・タイガー・サラマンダー純血種の減少
も問題になることでしょう。

記事にあるように、在来種のカリフォルニアタイガーと外来種のオビタイガーが混血し、親よりも大きく成長したり、新たな戦略をとるようになったり、とプラスの性質を獲得することを雑種強勢といいます。

例えば、ガラパゴス諸島のハイブリッドイグアナがあります。
このイグアナは、ウミイグアナ♂とリクイグアナ♀の間に生まれ、ウミイグアナのように海に潜って海藻を食べられるだけでなく、リクイグアナがサボテンを食べるように、爪をつかってサボテンによじ登り、これも食せるようになったのです。
もともとリクイグアナには鋭い爪がありませんでした。リクイグアナは自分でサボテンにのぼって食べることは出来なかったのですが、新たに雑種が誕生し、両親の優れた形質を受け継いで、幅広い食性に適応できることになったのです。

他にも、イネや野菜、樹木の品種改良の一例にもなっております。例えば、マツノザイセンチュウに弱い日本のマツにマツノザイセンチュウに抵抗性のある中国の馬尾松を交雑させ、和華松と名づけられたマツノザイセンチュウに抵抗力のあるマツを生み出しました。
イネは言わずもがな、コシヒカリといろいろな種類を交雑させ、あきたこまちやひとめぼれを生み出していますよね。

雑種強勢は、基本的に人に役立つ生物を生み出すときに行われたり、進化の上で必要があるときに行われてきたのです。

自然状態では、ある同じ祖先を持つ種が海や山などで地理的に隔離されていたりしますと、それぞれ近い遺伝子を持ちつつも、全く別の土地で、その土地に適応するように進化していきます。
だからダーウィンフィンチのように、近い島の中でも島ごとにぜんぜん異なるくちばしを持つようになるのです。
地理的隔離のためにお互い交配できないので種・亜種として認識され、多様性が膨らんでいったのです。

今回のケースでは、外来種ともといた在来種が交雑し、普段なら起こることの無い雑種強勢が発生したといえます。
その雑種強勢のために捕食が上手くなり、個体数を増加させ、個体数的にも遺伝的にも在来サラマンダーを減らしていくことでしょう。
遺伝的攪乱だけが問題ではなく、その地に住む生物を捕食して成長していくわけですから、在来被食者も減少していきます。

ある地域の生物群は、お互いの食う食われる関係の中で、自分たちの個体を激減させず、かといって激増もさせないような絶妙なバランスを作り上げてきたのです。
そこ別の地域のバランスを持った生き物を入れると、簡単にバランスが崩れるのです。

たとえば、1g同士でつりあっている天秤Aと、5g同士でつりあっている天秤Bがあるとします。
この場合、天秤Aは島嶼などの生態系、天秤Bは大陸の生態系で、おもりは捕食者と被食者のバランスだと考えてください。あ、捕食者数ということではないですよ。あくまでもバランスという概念で。

さて、天秤Bから5gのおもりを天秤Aに移したとします。どうなりますか?1gと、1g+5gでバランスは簡単に崩れますね。そう、移した5gが移入種であり、外来種と呼ばれるものなのです。

この1gと5gが交雑できたとします。そうなると、おもりは混ざり合い、6gのおもりとなります。
さて、バランスは1gと6gで崩れたままですが、もといた1gはどこに行くのでしょう?移入された5gはどうなるのでしょう?
1gと5gが合わさったのが交雑で、それによりできた6gは全く別種なのです。たとえ1gと5gの遺伝子が内包されていたとしても、別物。1gはこの世から消えることになります。5gは移入前で残っていますが・・・。
これが遺伝子攪乱と、それにより在来種が消えるということなのです。

記事の中では、絶滅危惧種の血を引いているからハイブリッドを駆除すべきかには問題がある、というようなことを述べていましたが、これは明らかにお門違いだと思います。

自然状態でハイブリッドが出来るならば、それは進化の過程であり、見守ればよいでしょう。
しかし、人為で移入したものはバランス崩しでしかないのです。
まだ1gが残されているならば、6gと5gを排除して、1種を守ることが多様性の保全に繋がるのではないでしょうか。

本来起こりえないハイブリッドは、イノブタやライガー、レオポンと同義だと思います。それを自然の産物と呼んでいいのでしょうか。進化と呼んでいいのでしょうか。
私は、導入種のハイブリッドは自然だとは思いません。利用するならばともかく、生態系を守るという観点からは無くすべきものかと思います。


今回の記事では、外来生物は遺伝的に近ければ雑種強勢も起こし、遺伝的攪乱だけでなく、在来種の激減、在来被食者の激減にも繋がるという例を提示してくれました。

日本でもニッポンバラタナゴとタイリクバラタナゴの交雑とか、ニホンザルとタイワンザルの交雑とかが起こり、遺伝的攪乱が進んでおります。

それだけでなく、日本のクワガタムシと台湾や中国など海外のクワガタムシが地域亜種同士で交雑し、今までに無い形質を持ったクワガタムシが発見される例が増えております。
私たちは、このサラマンダーの事例から、日本で起こっているこの問題を少しでも食い止めなければならないと思います。

今私たち一般の人でもできること。
‐飼えない生き物は飼わない。捨てない。
今NPOなど団体ができること。
‐日本で起きている現状を伝え、その防止に勤めること。
今学者ができること。
‐研究した成果をより多くの人に伝え、理解してもらうこと。
今行政ができること。
‐目標を明確にし、一般の人やNPO、学者が動きやすいような下地をつくること。

そして今我々がすべきこと。
連携。

頑張りましょう、固有の生き物を守っていくために。


すごく長い文章になりましたが、読破してくださり、ありがとうございました。
伝わりにくかったかもしれませんが、文章を読んで何か考えるところがあれば幸いかと思います。

以上、真面目なゆーにでした!・・・あれ、最初書こうとしてた内容と135°くらいずれてる・・・。
まあいっか。

引用元:ナショナルジオグラフィック 2009/06/30 『混成種サンショウウオが在来種の脅威に』
URL:http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=64602681&expand
2009.07.01 / Top↑
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