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前回の生態学会忘備録記事生物多様性関連集会:特定外来生物の分布状況2010につづきまして、第二弾。
2010年3月の生態学会でおこなわれましたシンポジウム『外来種の管理をめぐる人々の意識と意思決定』の記事を書こうと思います。
文章だけの記事になりますので、最近活字離れの方は是非どうぞ。

このシンポジウムでは、最初に外来生物の基本的な紹介があったあと、外来種と在来種の人々の選好についての調査や、環境経済学から外来生物問題についてアプローチしていくといった内容があり、また、終わりのほうには対策と効果に生じているギャップなどが紹介されておりました。

今回の学会の外来生物関係で、大きなキーワードとなったのがメソプレデター(Mesopredator:中位捕食者)だったように感じます。
普通に数年前からあった話でしょうけれど、昨年はあまり聞かなかったものですから。


・外来種のリスクと管理について
現在外来種のリスク(被害額)は、全世界で1.4兆米ドル/年だそうです。非常に大きな額過ぎていまいち実感がわきませんね。
この外来生物に対し、検出発見・検疫防除・駆除・コントロールといった階層的な管理手段がなされてきているようです。

法律も各種整備されており、外来生物の侵入を防ぐのは何も外来生物法だけでなく、植物防疫法や家畜伝染病予防法、持続的養殖生産確保法や水産資源保護法などがあります。外来生物の侵入拡散阻止を目的としたものは外来生物法ですが、その他の法でも結果的に外来生物対策になっているものはあるのですね。
ただ、法律はあくまでも法律であるため、現実的に限界がある部分もある、というのが考えさせられました。

今、国内各地で外来生物の活動が行われております。これに補助金とかを検討していたり、逆に外来生物を扱う業者には課税をするという案も出てきているそうです。まだ実現段階ではない、と話されておりました。
しかし、国内では環境省の「生物多様性保全推進支援事業」というものがあったりしますので、全く補助金的なものが無いわけではないですね。課税はいい案だと思います。ただ、これをするには様々な検討が必要そうです。外来生物を取り扱ったもの全般課税となってしまっては、ペット業界や園芸学会がYESと言いませんからね。。

各地の地道な駆除活動は、様々な問題を抱えているそうです。生態的には、駆除活動によって他の外来種が増加してしまったり(メソプレデターリリース:Mesopredator Release)、駆除活動自体の在来種への影響がわからないまま。個人的には専門家不足も入れたいところです。

社会的には、費用負担が大きかったり、ボランティア活動だったり、駆除費用がでなかったりすることです。
確かに経済活動に結びつきにくいのはなかなか問題ですよね。

もう一つ、外来生物にプラスとマイナスの面があることを考えてから駆除しなきゃいけないというのは、確かに、と思いました。
この発表では南アフリカフィンボスの外来アカシア林の例をだしていました。もっとわかりやすくいえば日本のブラックバス論争もプラス派とマイナス派のせめぎあいでしたね。論争にはなっていませんが、タイのナイルティラピアもプラスの面が大きくて現在問題になってはいないのではないでしょうか。


・外来種と在来種の人々の選好
この発表はなかなか面白かったです。外来種と在来種の選好の差や、外来種駆除肯定・反対の意見を紹介しておりました。アンケート分析みたいな研究でした。

駆除肯定派の意見は省きますが、駆除反対派の意見は、例えば、駆除は人の身勝手であるとか、持ち込んだ人を処罰すればいいとか、生活に支障が無ければ駆除は必要ない、といったものでした。よくある意見かもしれませんが、私は家族からこういう意見をいわれたことがあるので、生態学を学ばない者の共通認識なんだなぁと感じました。

共存派の意見は、生き物を殺すことに抵抗感があったり、外来生物の悪影響の実感が無い、というものでした。むしろこちらが貴重な意見ですね。

なお、全ての在来種を守りたい傾向は表れ、全ての外来種の防除は志向が弱いというのも興味深かったです。

生き物の選好はだいぶ異なり、外来種ではカミツキガメやブラックバス、スクミリンゴガイへの選好が強く、在来種ではメダカやオコジョ、ヤマセミなどへの選好が強いというものでした。

この結果とは別に、アンケートとること自体も環境教育になるという意見はなるほど、と思いました。


・環境経済学のアプローチ
この話は生き物系の人には難しいと思いました。正直私も理解し切れませんでした。
なので説明が出来ません・・・。一応ざっくりと書きます。
政策を実施するには、費用便益分析を行うそうです。便益が費用より大きければ政策を実施するらしいです。
生態系保全の便益は、社会にとっての生態系保全の価値、ということになります。
つまり、生態系保全にいくら払えるか、ということです。

ここで、発表者の方は仮想評価法という手法を用いてました。
将来こうなるとしたら、いくら払ってもいいですか?という質問を直接聞くものだそうです。
途中は省きますが、このような手法で聞いていくと、ブラックバスやザリガニの根絶には抵抗感があり、減らせば減らすほど好ましいというものではないという結果になったそうです。
これは個人によって価値観に差があることから生じたものだそうで、ブラックバスについては特に選好性がだいぶことなるのだそうです。

しかし、全体として外来種管理について、人は何らかの対策をとることを強く望んでいるという結果が見られたそうです。そうなったのは元気付けられる話ですね。
ただ、根絶が望ましいと評価されているわけではないのも、我々は一考せざるを得ないものであります。


このシンポジウム忘備録は続いており、次の話は「よかれと思った対策と実際の効果との間に生じるギャップ」になりますが、やけに長くメモしており、これ以上書くと長くなりすぎるため次の記事でまとめようと思います。それでは!
2010.05.09 / Top↑
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