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こんにちは!もうぼちぼちセミが鳴きはじめてますねー。
そして熱帯夜。ゆでだこになりそうです。

前回の生態学会忘備録記事外来種の管理をめぐる人々の意識と意思決定?の後編になります。

今回は「よかれと思った対策と実際の効果との間に生じるギャップ」という講演のメモ書きをまとめていきます。
内容としてはあまりメソプレデターリリースと関係ありませんでしたが、それでも面白い発表でしたので、是非私のメモですがご覧ください。

・よかれと思った対策と実際の効果との間に生じるギャップ
この発表は実に興味深かったです。何故駆除しても駆除しても減らないのか、うまくいかないのか、ということをわかりやすく説明してあったのです。効率的な駆除とは何か、考えさせられる発表でした。

ある地域では、ノネコを駆除したところ、外来種のウサギが急増し、植生破壊が起こったそうです。
同様にある地域では、ハブ対策にマングースを導入したところ、ハブを食べずにクロウサギを食べてしまったそうです。・・・奄美ですね。
このような事態になってしまったのは、知らなかったからなんでしょうか。それともうすうす知ってはいたけど対策に反映されなかったのでしょうか。

人は、知らないこと(潜在的なリスク)を無視したり、過小評価してしまいがちなのだそうです。知っているつもりになってしまうのだそうです。
しかし、知らないことを対策に反映させると、対策が無駄になるリスクもあります。
この無駄になるリスクを回避しようと心理的に動いてしまうので、結果として逆の効果が得られたり、効果が得られなかったりてしまうのです。
このような効果が得られない例はノイヌやザリガニの駆除で起こっております
この話はまた後ほどに。

まず、よかれと思って法律で指定したがために、逆効果がおこった事例というものがあります。
天然記念物法では、指定されている動物を殺すのは許されません。
奄美の例を見てみましょう。奄美では、クロウサギやアマミトゲネズミ、ルリカケスなどが天然記念物に指定されております。これらの最大捕食者は、マングースです。

マングースは特定外来生物にも指定されており、わなで捕獲されてきました。
と同時に、これらの天然記念物も年に1~10頭くらい混獲されていました。

天然記念物は、混獲されると最悪死ぬか、怪我を負います。現状変更が禁止のため、法律に抵触してしまいます。そのため、マングースの捕獲中止が一時起こったのです。
今は再開されておりますが、希少種がとれにくいわなの設置もおこなわれました。
捕獲中止も、希少種がとれにくいわなも、結局両方取れなくなるのです。

1匹のマングースが1年に食べるエサの量は、ある例では年にカエル12、クロウサギ4、トゲネズミ4、ケナガネズミ4で、他は昆虫類がほとんどだったそうです。
さて、ほとんど昆虫食だからいいじゃないか、と思う方がいるかもしれません。
しかしマングースは1匹ではありません。
2000匹いるとどうなるでしょう。単純計算、クロウサギは8000匹食べられていることになります。

混獲で犠牲になるものと、マングースに食べられるものには数百倍の差があるのです。これを問題にするのはいかがなものでしょうか。
天然記念物を守る法律が、天然記念物を絶滅に追い込みかねない事例でした。

さて、話は先ほどの効果が得られないもの、逆効果のものに戻ります。
まずはノイヌから。

奄美では、マングースだけでなくノイヌも問題になっております。
クロウサギやトゲネズミ、ケナガネズミをたくさん食べるそうです。
なのでマングース同様駆除しなければならないのですが、駆除だけでは難しい、というよりも効果が薄い。

なぜなら、ノイヌのわなはマングースのものよりも大きく、効率が悪いです。
また、エサが少ないため、ノイヌは山ではいずれ死ぬ、ということがいわれているからです。

捕獲は年間600頭前後だそうですが、根本的に捨てさせないことが大事であり、ノイヌの供給を絶つほうが優先されるのです。

ザリガニはどうでしょうか。
ザリガニは、じつは捕獲以上の増加率を持つ、といわれます。
とくにザリガニの幼体は落ち葉などを主食としております(実際に水中の落ち葉に群がる数ミリのザリガニを見たことがあります)。

ザリガニの密度は落ち葉の流入量に比例するらしいので、ザリガニを駆除するならば、カゴなどのでの駆除だけではなく、落ち葉を抑制する森林管理が必要になるのです。


さて、お次はマングースの駆除の話です。先ほどのは法律関係でしたよね。
マングースもただ取るだけでは根絶が見込めません

奄美では、なんとマングースの個体群動態には冬鳥のシロハラが影響を及ぼすかもしれないのだそうです。
年によってシロハラの飛来数が大きく変化するのだそうで、これに応じて駆除方法を考えれば、もしかしたら効率のいい駆除方法がみつかるかもしれません。

駆除をいつやればマングースの増加率を抑えられるのか。
通常シロハラは12~1と4~5月に飛来するのだとか(U1うろ覚えです)
ですのでマングースは冬場前の駆除が効果がある、ということでした。


外来植物でも、ただ駆除するだけではだめなのです。
琵琶湖にいる植物種のうち480種の約1/3が外来だといわれております。

特定外来植物のミズヒマワリの駆除は、取り残しを15%以下にしなければ翌年回復してしまうのだそうです。
春~晩秋が駆除時期といわれており、これを逃すとコストが4倍なのだとか。

要注意外来植物にチクゴスズメノヒエというのがあります。このチクゴスズメノヒエ群落に特定外来植物のナガエツルノゲイトウが侵入し、置換してしまうことがあります。
駆除費用は数年放置しただけで数千万になるというのです。

問題の解決には多くの金額と時間と労力が必要になってしまいます。

外来生物は予防が原則です。この予防原則を実行するには、駆除を考えるときにリスクを負う姿勢が大事なのです。



最後駆け足気味でしたが、なかなかに興味深いシンポジウムだったと思います。
やはり学会は楽しいですね!!社会人になってしまった今でも、なんとかいけるようにがんばりたいところです。
2010年3月の学会の防備録はまだまだありますので、来年の学会が始まる前には全部書けるようにしたいですね。

最近はニュース記事も書いてないですし、他にも書きたい内容があるので、ちょいと忙しくてもぼちぼち更新していきたいと思います。ではでは。
2010.07.20 / Top↑
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